Risa Takeda/Pandora (2018)
*Self liner* ~The inside of the box~
【Pandora全体の内訳】
使用ソフト:Ableton Live
ピアノの音色含め基本ほぼMIDI音源
シンセソロ/ノイズなど:KingKorg、mininova、Particle
生ドラム:全て2ch録音、3点がバランスよく録れる場所にSEIDE PC-M1を、ライド側はボーカル用マイクetc...(模索しながら録音していたので全部録った環境が違います)
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【CD1-1/at daybreak,】
これはアルバム全体の入口、そして2曲目Islandの前奏曲になるように作りました。MIDIピアノで即興で弾いていい所だけ繋げています。自分の表皮よりも外側にある部分、というイメージです。
【CD1-2/Island)】
これは、個人的に印象派音楽とポップスなどの要素が一番心地よくぶつかり合うポイントをかなり明確に提示できた気がしています!取り分け曲の流れや構成(珍しく次々と展開が浮かんできた)が気に入っています。ライブでやりたい曲No.1かも知れない。。
当初の予定ではサックスピアノドラムのECMっぽい大人しい曲にする予定でした。ドラムは全曲中唯一、ライド側にもSEIDEのコンデンサーマイク置いて録ってます。
何となく異国の小さな島の夜明けから日没、というイメージです。
【CD1-3/Pagoda 2018】
これ実はドビュッシーのピアノ曲集「版画」の中の「塔」という曲のカバーです!!
作曲者にボコられる覚悟で作りました。チープな感じにしたくてLive内のプリセットの音をほぼそのままで使っています。
中盤のノイズの嵐みたいな所が好きなんです!ずっと納得いく展開にできなくて、録音終盤それまで使ってこなかったmininova使ってハチャメチャに弾いてLive内の変態エフェクターかけまくったらこうなりました。1年間押上に住んでいたのですが、ぼんやりスカイツリーのイメージあったかも知れません。
この曲は本当に大好きでライブで弾いたこともあります。マレット系のフレーズは全て原曲の特徴的なメロディそのまま引用してループさせてます。原曲はこちらです
【CD1-4/Idle brain~】
これはメロディを軸にドラムと打ち込みのビートの絡みを楽しむ曲にしようとしてたのですが、ビートの種類を選んで組み合わせるのが楽しくなりすぎて結果ドラムなしのテクノ寄り?になった曲です。
冒頭のメロディはすぐ形になったのですがその後の展開とても悩みました!これも最終的に、ポップな音楽に対する気持ちに素直になった途端なんとか決着がついた感じです。実はテクノポップみたいな曲めちゃくちゃ好きです......
【CD1-5/NagaRaja】
これ!テクノ3部作?の中で個人的に1番気に入っています!恐らく「こういう曲を作ろう」という気持ちより何故か惹かれてしまう江ノ島そのものや関連する伝説に対する憧憬だけで作ったからかと。。
Live使い初めの頃に、かなり手探りで作ったものです。
情景描写から曲を作る時は2パターンあり、片方は物語に沿って視覚情報をダイレクトに音にするやり方で、片方は物語をまとめて抽象化し1度フィルター通してから音楽にするやり方です(NagaRajaは後者)。江ノ島伝説を元にして前者の方法で作ったのはこちらです(ピアノ曲
https://soundcloud.com/risa-takeda/ys8wsgnyn67x
そういえば冒頭の拍子は4/4でなく、4.125/4です。
改めてファイル開くと内蔵エフェクターおかしな使い方していて、それで偶然このような音像になった様です。
しかし、何故こんなに江ノ島に惹かれてしまうのか謎です....主にこんな伝説をイメージしています↓
http://www.geocities.jp/sizen_junnosuke/ryudensetu1.html …
【CD1-6/Cursed Destiny】
1枚目のラスボス。。これは本当に半年くらいかかりました、使用音源全てクリックなしの打ち込み。若干心折れそうでしたが、この度絶対に自分が一番長く触れてきたと思しきクラシック音楽に対する答えが欲しくて必死で作ってました。けど本当に作ってよかった….
楽器は20種類ほど使っていてほぼ全部リバーブかけただけですが、ビオラだけ少し違和感あったのでEQいじった気がします。音量のオートメーションなどのミックス作業はかなり細かく書いています。それぞれの楽器に役割分担させて情景描写させるのは楽しい作業でした!
冒頭のメロディとても気に入っています!
冒頭~中盤まではIgor Kovalyovの「妻は雌鳥」というアニメーションに音楽をつけるライブの際弾いたものをメロディとして使っています。後半はシェイクスピア的な悲劇を想像しながら感情が爆発するままに曲を展開させました。
【CD1-7/a time of thaw】
これは「雪解けの季節」という意味だったと思うのですが、まさに3~4月の春先、録音作業の終焉と仕事現場の移行、さらに色々なものから離脱する事で自分を取り巻く環境が良い方に変化するであろう予感に対する希望と喜びに溢れてます。終わりと始まりのイメージ。
当初はもっと仕掛けを用意しようとしてたのですが、「曲を難しくする意味とは...」という考えに陥り、結構ポップな展開になりました。録音終盤でかなり疲弊していたせいもあると思います。
ドラム、ライド側は普通のボーカルマイクです。
結果的に1枚目の終焉に相応しい感じになったかなと!!
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【CD2-1/嗚】
これは記念すべき初発表曲です!
作曲して発表するのが怖くて何も出来ていなかった2017年2月、突如やり場のない怒りに支配されて嘔吐しながら勢いだけで作ってサンクラに投下した、当時の曲名は「夜明けの吐瀉物」笑
これは絶対に2枚目の1曲目に収録したかった。
まず何も決めずスタジオでドラムを怒りに任せて叩きまくり、良さげな所だけ切り取ってシンセ被せました。
サンクラverはもっと長いですが流石に違和感あったので最初の部分だけ採用しました。
https://soundcloud.com/risa-takeda/ksts
【CD2-2/尋常に狂う】
これは1曲目「嗚」の連作のつもりです。前半の適当に録っていた部分からどう発展させるか悩んでいたのですが酔って駅で吐いている時に後半のメロディを思いついたのでとても滑稽な感じで収録しました。つまり嘔吐第2弾という事です。。笑
後半部分の歪ませまくったリードシンセの叫びがお気に入りです!中盤に山手線で録った音を細切れにして入れてます。
このドラムはスネア側のコンデンサーマイクの音のみです(設定ミスしました)
しかし、奇跡的にモノラル感が合ってるというか、綺麗に2chで録っても結局潰したくなってしまうのでこれで良いと思っています。
【CD2-3/業】
私の中の燃えたぎる怒り、悲哀、憎悪そのものみたいな曲でとても気に入っています!笑
作る前からどこに配置するか決めていて、テンポ遅めのジョンゾーンぽい曲を作ろうとして見事そうなりませんでした。作ったのは去年の12月です。
途中のシンセソロ、中盤どうしようか悩んでる最中に適当に弾いたらそれが地味に良くて、そのシンセソロに沿って展開させました。ソロ明けはベースラインをC#とCでユニゾンさせていて地獄みたいになってます。これもドラム録る時設定ミスってスネア側の音しか録れてないです。
【CD2-4/涅槃】
前曲の業(KARMA)と連作ぽくなりました。業のエネルギーを断ち切り輪廻を止め涅槃に入るような。これはインドのアニメーション作家Ishu Patelの「死後の世界」という作品がイメージの元になっています。
Ishu Patelのアニメ、どれも好きです。
最後のドラムソロもっと長かったのですが流石に削りました。聴いていると途中で眠くなる曲No.1です。
【CD2-5/寄生虫】
これはドラム録音の最終日に物凄い開放感の中即興で叩いたドラムに、PC使ったソロライブの際頭の中レインボーになっている状態で即興ループさせていたえぐいシンセの音を重ねました!ある意味即興感溢れていて、涅槃と弟切草の間にちょうど良い。。
しつこいですが元のドラム原型はほぼこのテイクです!
https://twitter.com/Risa_Tacked/status/1038788369600278529
最終日にやっと理想的なマイクの位置が見つかり、ドラムの音だけだとこの曲が一番好きな気がします。
上記の、PC使ったソロライブは久里洋二の「寄生虫の一夜」というアニメーションに音楽つけていくという内容でした。
https://m.youtube.com/watch?v=sWQs2H_nulg …
【CD2-6/弟切草】
こういう曲を作る予定全くなかったのですが、偶然選んだクラビの音で即興で弾いてみたらかなり自然に展開浮かんできました。更にクラビに似た、無機的な音を4種類くらい重ねています。現実と夢の狭間で救いがなくなっていく様子を演出したかったんだと思います。
【CD2-7/孤高の厭世家】
もはや2枚目のどこかにブルースぽい曲を入れたかったというだけの理由で作りました。上京してからブルースセッションやライブにドラマーとして頻繁に参加していたので、この機会に自分なりのブルースを追求してみたかったのです。
ドラムはとにかく疾走感が欲しかったのでクリック聴かずに、曲を一度頭に叩き込んでからライブやってるつもりで叩いて録音しました!ライド側は普通のボーカル用マイクを。後々の編集が大変でしたが他の音重ねるのとにかく楽しかった。。
マスタートラックにvinylプラグイン入れて更に歪ませてます。
【CD2-8/革命前夜】
これはもう、ある意味自分の一番根元にある本能的なものを掘り起こした感じになりました。曲に殺されるなんていうのは物理的には有り得ない事ですが1枚目のCursed~同様、作る過程で余りに感情が爆発しすぎてそれに近い状態になっていた気がします...
次曲の「ラスト・モーメント」と繋がっていて、一貫したテーマは「自分を変えるために自身に膨大なエネルギーを与え、その過程で肉体が耐えられず滅びてしまうが精神は人間を超越した絶対的な存在になる」というような感じです。
美しさや癒しの象徴でもあるピアノやフルート等の楽器を、それを保ったまま攻撃的な印象を全体のバランスが崩れる限界点まで加える目的はありました。 とにかく壮大な感じにしたくて色々悩みましたがある意味様式的な構造に収まった気がします。放置してたら1時間くらいの長さになっていた可能性が...
【CD2-9/ラスト・モーメント】
革命前夜が精神世界の描写だとしたら、こちらは目に見える世界の情景かも知れません。アルバムの出口、後奏曲のつもりです。また新たな歩みを進める為に30年間を一度葬り去りたいが未知の世界の膨大さに絶望しているような像もあります。
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おまけ【特典音源/Core of the REVERIE】
これは「アンダルシアの犬」を観ながら即興で弾いて作った曲です!!
あの、皮膚のすぐ下を虫が這い回っているようなおぞましさ、気味悪さ、そしてある種の快楽を!!どうにかして曲にしたかったのです!笑
収録するつもりでしたがどちらの盤とも違う空気感だなと思い、特典音源に回しました。 このタンゴに使われるような楽器のアンサンブルとても好きです! 即興で弾いたものですが、観ながら何度も弾いているので特徴的な部分は毎回似通ってます。ちなみにライブでも弾きました↓